【皐月賞】王道歩む資格を問う一冠目 不動の主役はクロワデュノール

2025年04月19日(土) 12:00

“最も速い”だけでなく総合力を問う戦いに

 無敗の重賞勝ち馬が皐月賞馬になるケースが目立っているが、最近の6年間で5頭も出ている。クラシックレースには必ずトライアル戦が用意されているが、先週の桜花賞と同様にこのトライアルに出走していない馬の優勝が多いのも気になる。皐月賞はこの10年で勝ち馬のうち9頭もがこのケースに入っているので、今年も念頭におくべきだろう。

 距離別のグレード制が導入されて41年たつが、3歳牡馬三冠レースに抱くイメージもこれにつれて少しずつ変化しているように見える。

 以前は、皐月賞は速い馬、日本ダービーは運のいい馬、菊花賞は力のある馬という言われ方をしていたが、今ではスピード型が多くを占める時代になっており、輸入される競走馬も繁殖馬も、言ってみれば北米タイプが多い。従って、皐月賞といえどもただ速いと言うのではなく総合力、秘める可能性がもとめられるようになった。出走馬を見ると、このタイプが多くなっているように思う。それだけに、皐月賞で人気になって勝つ馬は、その次も、つまり日本ダービーの可能性も高く、実際にそういう結果になっている。1番人気で皐月賞を勝った馬は、グレード制導入後の41年間で12頭いるが、このうち10頭が日本ダービーに出て7頭が勝っている。その勝率は7割にもなっているのだ。

 さらにこれに皐月賞2番人気で勝った馬の日本ダービーでの成績を加えてみると1、2番人気で皐月賞馬になった合計16頭の日本ダービーでの成績は、7勝2着5頭、3着1頭、着外が3頭で、連対率75%。皐月賞で高い支持を集めた馬は日本ダービーでも、その結果を受け入れてもいいということになっている。もちろん、この中にはシンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、コントレイルの三冠馬も含まれているが、人気で勝つことは実力があって王道を歩む資格があるということになる。皐月賞の持つ意味は、以前よりも格別に高くなっていると言いたい。ただ、三冠馬で例外なのはオルフェーヴルで、皐月賞は4番人気で勝って日本ダービー、菊花賞とタイトルを重ねていた。

 この10年の皐月賞をふりかえってみると、勝ち馬はキャリア4戦以下に限られていて、加えて2勝以上しているものになっている。さらに言えば、芝1800米か2000米の重賞で連対を果たしているものがいい。

 不動の主役とみられるクロワデュノールは無傷の3連勝でホープフルSを楽々と2馬身抜けだして勝っており、そこからの直行だったサートゥルナーリア、コントレイルの例を上げるまでもなく、主役はゆるがない。

 相手候補は一長一短だが、前走きさらぎ賞を大外まわって中団から3馬身と抜けだして快勝したサトノシャイニングを。それに、レースの流れに左右されないセンスの良さが目立っているジョバンニ、ゴールまで加速して好タイムで共同通信杯を勝ったマスカレードボールなど様々いる。

「栄光の 三冠めざし 第一歩」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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