2025年04月23日(水) 18:01
▲佑介騎手と坂井騎手の対談もついに完結(撮影:桂伸也)
坂井瑠星騎手を迎えてお届けしてきた対談もついに完結編。今回は、瑠星騎手の“今後”と“悩み”について。
「世界どこでもやっていける騎手」を目指す瑠星騎手。ゆくゆくは長期で海外へ勝負しにいきたいと語ります。しかし、近頃は“悩み”もあるようで…。デビュー以来そばで見てきた佑介騎手が、競馬界を引っ張っていこうと頑張る後輩に金言を授けます。瑠星騎手が「今は競馬に乗るよりも…」と漏らす“悩み”とは一体──。
前回の対談はこちら▼
(取材・構成=不破由妃子)
瑠星 佑介さんには、デビュー当時からいろいろご指導いただいてきましたが、そんな佑介さんから見て、今の僕に足りないものってなんだと思いますか?
佑介 後輩への思いやりやな。
瑠星 思いやりか〜(笑)。
佑介 瑠星は自分に厳しい人間で、それはすごくいいと思うけど、そのぶん後輩に対しての言い方とかもキツイから。
瑠星 それは自覚しています。自分でも厳しいと思いますね。
佑介 最近の関西は、瑠星が後輩の指導を担っているような感じで、言うべきことは言わなくちゃという自覚のもと、厳しく接しているのはわかるよ。でも、伝わらなければ意味がない。
瑠星 なるほど…。そのあたり、佑介さんは本当にすごいですよね。言葉で伝えるのって難しいなといつも思うんですけど、佑介さんの言葉はちゃんと響く。
佑介 たとえば、瑠星が指導する係で、その意図をフォローしてくれる人がもうひとりいて、ふたりセットならいいと思うんだけど、実際はそうじゃないでしょ? となると、瑠星自身があとからフォローするなり、ぶっきらぼうな言い方にならないように意識したりしないとね。瑠星には瑠星の考え方やビジョンがあるのはわかるんだけど、若い子たちに瑠星と同じビジョンが見えているわけがないんだから。
瑠星 相手の立場に立って…ということですね。
佑介 そうそう。相手の立場に立ったアドバイスができて、初めて後輩から慕われるというか、相手を理解しようとすることで、自分の幅も広がったりするから。瑠星はまだ自分本位で喋っているところがあるから、何かを聞いてきた後輩に対しては、相手本位で喋ってあげてほしいなと思う。
──後輩への指導の仕方については、昨年『VOICE』で対談した際、川田さんにもダメ出しされてましたよね。言いっ放しではなく、フォローをすべきだと。
VOICEでの対談はこちら▼
佑介 将雅もそうなんですけど、「教えてあげたい」という気持ちはあるのに、ちゃんと伝わっていないのがすごくもったいないなと思って。将雅や瑠星クラスのジョッキーがせっかくアドバイスをしても、それが伝わっていないとしたら、どちらにとっても不毛ですよね。瑠星だって、指導役を買って出ているということは、日本のジョッキーのレベルを上げたいという気持ちがあるからでしょ?
瑠星 もちろんです。むしろ、その一心と言ってもいいくらい。
──指導役なんて、やらなくて済むならそれに越したことはないですもんね。言い方ひとつで、無駄に嫌われちゃったりとかしそうですし。でも、誰かがやらなければいけないことでもあると。
瑠星 そう思って後輩と接しているつもりなんですけどね。何も言わなくていいなら、そのほうが楽ですもん。
▲「気持ちがあるのに伝わらないのがもったいないなと」(撮影:桂伸也)
佑介 まずは言い方を含めて、相手が聞ける態勢を作ってあげたほうがいいと思うよ。なんていうのかなぁ、響かせ方を整えるというかさ。それをやっていくことで、さっきも言ったけど、瑠星自身に人としての幅が出てくる。オーナーさんと話す機会も多いと思うけど、みなさん人間的な幅みたいなものを見ているからね。せっかく後輩を指導する立場にいるんだから、そういうところまで繋げていってほしいなと思う。瑠星はさ、これからの競馬界を背負っていかなくちゃいけないんだから。
瑠星 ありがとうございます。でも…、難しいですね。競馬に乗ることより、今はそっちのほうが悩みかも(苦笑)。僕自身、先輩に積極的にアドバイスを求めに行けるタイプではなかったので、どうやって教えたらいいのかわからないんですよね。
──でも、こうしてお話している限り、コミュ力は高そうですが。
瑠星 いやぁ…。僕、競馬場では別人だと思います(笑)。
佑介 レースのことについては、発言も含めて瑠星は本当にシビア。でも、それは瑠星の良さでもあるから、その場ではちょっと言い方に気を付ける程度でいいと思う。ただ、・・・
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。
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