【中山GJ】意表を突かれたエコロデュエルの超ロングスパート──不安、葛藤とともに挑んだレースを振り返る

2025年04月28日(月) 18:02

加矢太論

▲小牧加矢太騎手が、インプレスと挑んだ中山グランドジャンプを振り返る(撮影:桂伸也)

4月19日(土)に行われた中山グランドジャンプ(J・GI)にインプレスとのコンビで挑み、結果は3着となった加矢太騎手。

初めてのGI、初めての63キロなど、レース前には心配もあったことを赤裸々に明かしつつ、直後のポジションで体感していた勝ち馬エコロデュエルの超ロングスパートに対する葛藤を振り返ります。

そして加矢太騎手自身、これでJ・GIは2戦連続3着。強くなっているタイトルへの想いも語ります──。

(取材・構成=不破由妃子)

「勝つためには、あの場面で追いかけないという選択肢はなかった」

──インプレスにとって初めてのGIであり、初めて63キロを背負ってのレースとなった中山グランドジャンプ。3着という結果でしたが、草野太郎騎手(エコロデュエル)が超ロングスパートを仕掛けてレコード勝ちを決めるなど、記憶にも記録にも残る一戦となりましたね。

加矢太 強かったですよねぇ。草野さん、以前からエコロデュエルについて「オーソドックスな競馬で勝たせるのは難しい馬だ」と話していたんです。それを知っていたので、まぁ意表を突くような競馬をしてくるだろうなぁとは思っていたんですけど、まさかあそこまでのロングスパートを仕掛けてくるとは…。誰も考えていなかったと思いますよ。

──加矢太さんが考えていた意表のレベルを超えてきたと。さぞかし心理的にも揺さぶられたかと思いますが、そのあたりも含め、今回はインプレスで挑んだ中山グランドジャンプについて、じっくり振り返っていただければと思っています。まず、レースプランですが、ある程度具体的なものがあったのですか?

加矢太 いえ、ほとんどノープランでした。ただ、もう少し後ろから行くことになるかなと思っていたのですが、今回、思ったよりゲートを出てしまったので。

──そうでしたね。一つ目の障害は2番手でクリアしていった。

加矢太 まぁ今回の流れでいうと、結果的には後ろでゴチャつくよりもよかったですけどね。道中も、思っていた以上にスムーズで。正直、初めての“63キロ”を心配していたところもあって、というのも、一昨年の中山大障害でネビーイームが初めて63キロを背負ったとき、それまでの走りとけっこうギャップを感じたんです。まぁネビーイームはもともと進みづらい馬ではあるんですけど、それにしてもインプレスは、初めてとは思えない走りをしてくれました。

──飛越も終始スムーズでしたね。そんななか、やはりポイントとなったのは、芝の外回りコースに入る前のバンケットあたりから始まった、エコロデュエルとジューンベロシティ(4着・森一馬騎手)のスパート。

加矢太 一気にグーンと速くなったので、垂れてくるだろうと思っていたら、全然垂れてこなくて。でも、追いかけないといけないから…。

加矢太論

▲「垂れてくるだろうと思っていたら、全然垂れてこなくて…」(撮影:桂伸也)

──あそこは葛藤があっただろうなと思いました・・・

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小牧加矢太

1996年12月24日、兵庫県生まれ。父・小牧太はJRAジョッキー。一度は競馬への道を志すも、身長が高く体重制限が難しい為馬術の道へ進む。馬術では2016年ヤングライダー障害飛越選手権、2020年全日本障害飛越選手権など複数の全日本大会で優勝。その後障害レース限定の騎手免許試験に合格、2022年にデビューした。馬術からJRA騎手への転身という前例のないルーキーとして注目を集めている。

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