KYダービーだけじゃない! 同日開催の英国3歳三冠初戦・2000ギニーにも注目

2025年04月23日(水) 12:00

前売り1番人気が入れ替わる事態に

 イギリスにおける芝平地シーズンは、3月29日のドンカスター開催で幕を開けたが、シーズン最初の主要開催となる「クレイヴン・ミーティング」が、4月16日と17日の両日にわたってニューマーケット競馬場で行われた。

 そのクレイヴン・ミーティングを舞台として、5月3日に同じくニューマーケット競馬場で行われる英国3歳三冠初戦のG1・2000ギニー(芝8F)へ向けた、前売り1番人気が入れ替わるという出来事があった。

 シーズンオフの間、2000ギニーの前売りマーケットをリードしてきたのは、A.オブライエン厩舎のザライオンインウィンター(牡3、父シーザスターズ)だった。昨年7月20日にカラ競馬場で行われたメイドン(芝7F)を2.1/4馬身で制しデビュー勝ちした同馬は、続いて出走した8月21日にヨーク競馬場で行われたG3エイコムS(芝7F)も1.3/4馬身差で快勝し、無敗の重賞制覇。その後は、10月12日のニューマーケット開催に組まれたG1デューハーストS(芝7F)に出走予定だったが、挫石を発症して当日朝に出走を取り消し、2戦2勝で2歳シーズンを終えていた。

 2000ギニーに向けた前売りで、オッズ5-7倍の1番人気に推されていた同馬だったが、3月24日にオブライエン師の拠点バリードイル調教場で行われたメディアモーニングで、ザライオンインウィンターの調整が遅れていることを同師が公表。2000ギニーには間に合わない公算が大きくなって、同馬は前売り1番人気の座から陥落した。(その後オブライエン師は、ザライオンインウィンターがダービーには間に合うこと、プレップレースとして5月15日のG2ダンテSを使う予定であることを発表している)。

 代わって1番人気の座に就いたのは、同じオブライエン厩舎のトウェイン(牡3、父ウートンバセット)だった。10月19日にレパーズタウン競馬場で行われたメイドン(芝7F)を6馬身差で制してデビュー勝ちした同馬は、そこから中7日で、10月27日にサンクルー競馬場で行われたG1クリテリウムアンテルナシオナル(芝1600m)に参戦。ここも1.1/4馬身差で制し、無敗のG1制覇を果たして2歳シーズンを終えていた。

 ぶっつけで2000ギニーに向かうトゥウェイの調整は順調に進んできたようで、この段階で同馬は、2000ギニーへ向けた前売りでオッズ6-7倍の1番人気となった。

 3週間余りでまたも1番人気が入れ替わるきっかけとなったのは、クレイヴン・ミーティング2日目の16日に行われたG3クレイヴンS(芝8F)だった。

 本番と同コース・同距離で行われる一戦で、2000ギニーの最重要プレップと位置付けさらている一戦だが、皆様方もご存知のように、近年は前哨戦を使わずに本番に直行する馬が多く、ここと本番を連勝した馬は、2004年のハーフドを最後に現れていない。

 その一方で、このレースの過去5年の勝ち馬のうち4頭は、2000ギニーで入着を果たしており、前哨戦としての機能は充分に果たしている。

 今年は9頭立てとなった中、オッズ4.33倍の1番人気に推されたのが、J&T.ゴスデン厩舎のフィールドオブゴールド(牡3、父キングマン)だった。LRローズマリーS(芝8F)勝ち馬ザンバクの半弟にあたり、ゴフス11月当歳市場にて53万ユーロ(当時のレートで約7732万円)でジャドモントに購買されたのがフィールドオブゴールドだ。2歳6月にデビュー。2歳時は4戦し、サンダウンのG3ソラリオS(芝7F)を含む2勝をあげた他、ロンシャンのG1ジャン・リュック・ラガルデール賞(芝1400m)4着の成績を残していた。

 ここが今季初戦だったフィールドオブゴールドは、道中最後方を追走。勝負どころを迎えて、前が壁になってしまったように見えたが、残り2F付近から馬群の隙間を見つけて追い込み、残り150mで先頭に立つと、そこから3.1/2馬身抜け出す快勝。2着馬ウィンブルドンホークアイ(牡3、父カメコ)は2歳時、ニューマーケット競馬場のG2ロイヤルロッジS(芝8F)を制していたほか、G1フューチュリティトロフィー(芝8F)で3着に入っていた馬で、その実績馬に3.1/2馬身をつけるパフォーマンスに、同馬の株は爆上がりし、ブックメーカー各社は3.5-3.75倍のオッズを提示して、2000ギニーの前売り1番人気の座に浮上させることになった。

 日本の競馬ファンの目は、同日に行われる米国3歳三冠初戦のケンタッキーダービーに向きがちだが、ニューマーケットの2000ギニーにもぜひご注目いただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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